建築士 梶谷さん(39)の場合

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<プロフィール>
●名前:梶谷健太さん(仮名)
●職業:建築士
●年齢:39歳
●最終学歴:都内の私立大学卒
●推定年収:400万円以上
●生息域:品川、白金台、桜木町(それぞれ好きな美術館のある場所)
●行動特性:仕事部屋、友人宅、実家を泊まり歩く日々。好奇心旺盛
●好物:美術館、小説、議論
●好異性:頭の回転が速く、知識欲が強い女性

家事全般が得意で几帳面な建築士

「大宮さん、今日はどれぐらい時間がありますか? 僕は何事も最初から順を追って話したい性格なのでつい話が長くなってしまいます。お時間がないようならば、一問一答にさせてください。余計なことは言いませんので」

ここは東京・渋谷のカジュアルなイタリア料理店です。渋谷駅から徒歩10分以上かかる場所にありますが、味が良くて接客は安定しているのでときどき利用しています。ある平日に建築士の梶谷健太さん(仮名、39歳)と遅めのランチをしました。梶谷さんと僕は自営業者なので、明確な「昼休み時間」などはありません。混雑する12時~13時の時間帯は外すことができます。

それでも僕のスケジュールを気遣ってくれる梶谷さん。自分の理屈っぽさと長話の傾向を自覚しているようです。特に理系出身でエネルギッシュな男性には梶谷さんのようなタイプが少なくないと感じています。良くも悪くも「人からどう見られているか」があまり気にならず、自分の話に夢中になってしまいがちなのです。

梶谷さんは人とコミュニケーションするのは大好きなので、冒頭のセリフのように感性ではなく知性によって綿密に気遣いをします。こういう男性を「かわいいな」と好意的に受け止める女性もいれば、「わずらわしい」と感じてしまう女性もいるでしょう。

将来の家族像を描けたシングルマザーとの恋

先輩の建築士事務所で修業をし、独立をしたのは20代後半。仕事も遊びも楽しく、結婚にはまったく目が向かなかったと梶谷さんは振り返ります。

結婚を迫られそうで怖い、という理由を伝えて年上の恋人と別れたこともあります。ひどいことをしてしまいました……。その女性からは、長文の抗議メールを受け取りましたよ。僕との結婚を考えたことはなかったそうです」

若い頃は残酷な素直さと想像力の欠如と身勝手によって身近な人を傷つけてしまうことがありますよね。僕にも梶谷さんと同じような経験があります。20代の頃に付き合っていた何人かの女性たち。今ごろはそれぞれ幸せになっているはずなので、かつての無礼を謝りに行くことはできません。梶谷さんのように反省をして、いま向き合っている他者との関係性に生かすしかないのだと思います。

今から7年前、そんな梶谷さんの気持ちを結婚に向けた女性がいます。シングルマザーの旧友で、4歳年下の理恵さん(仮名)です。久しぶりに再会して意気投合し、ときどき食事に行くようになりました。理恵さんの娘は当時3歳。いい意味で子どもっぽいところがある梶谷さんにすぐに懐いたようです。

「親子関係のシミュレーションができたというか、家族って面白いなと思うようになりました。3人で泊りがけで遊びに行ったとき、結婚を前提にお付き合いすることを僕から提案したんです」

几帳面さと頑固さが同棲、結婚生活の破綻の原因

その後、3人は半年間ほど同棲をしました。別れてしまった原因は、自分の「細かすぎる性格」にあると梶谷さんは告白します。

「小学校3年生ぐらいの頃は潔癖症でした。自分の部屋は自分で完璧に掃除していましたし、母親にすら何も触られたくありませんでした。今でも洗濯物はキレイに干したいです。適当に干すと風通しが悪くなって生乾きになったりするでしょう」

理恵さんは家事のできない女性ではありません。彼女なりの優先順位とこだわりがあったのです。当時の梶谷さんと理恵さんは、生活習慣や子育て方針に関してうまく折り合いをつけることができませんでした。

「子どもとの関係はずっと良好で、僕のことを『家族だよ』なんて言ってくれていました。当時、その子は5歳です。別れることになって本当に申し訳ないと今でも思っています」

筋金入りのキレイ好きの梶谷さん。緻密さを求められる仕事に生かせる特性でもあり、治す必要もないと僕は思います。

しかし、他者と人生を分かち合う結婚においては、強度のキレイ好きは障害になりやすいのかもしれません。梶谷さんは、理恵さんと別れて半年後にはネットつながりで3歳年下の美由紀さん(仮名)と出会い、すぐに結婚しました。その生活も「几帳面すぎた」ことが主因で終わってしまったのです。

ごみの捨て方、掃除の仕方、お金の使い方。いま思うとあれこれ口を出し過ぎていました。彼女は専業主婦だったので、僕からいちいち指図されることで傷ついていたのだと今では思います。僕としては、いくつかの選択肢とその理由も提示して、彼女に選んでもらうようにしていたつもりなのですが……」

家事を任せてくれる女性と再婚希望

一人暮らしが長く、同棲中には子育ての経験もあり、ちょっとせっかちでかなり几帳面な梶谷さん。一方の美由紀さんは「優しくてポワーンとした」性格です。生活のすべてが梶谷さんのペースで進み、自分には自由も価値もないように感じたのではないでしょうか。ある日、一人息子を連れて出て行ってしまいました。

「僕は建築士の仕事が好きですし、施主には満足してもらっています。でも、正直言ってお金を稼ぐ力はあまりありません。一つひとつの仕事にこだわりすぎてしまうので……。生活費に余裕がなかったことも前妻を追い詰めてしまった理由かもしれません」

息子をとても可愛がっていた梶谷さん。今後、美由紀さんの再婚などによって息子と会えなくなることを想像すると深い悲しみと孤独感を覚えるようです。

「やっぱり家族がほしいですね。子どもを作ることが目的ではないけれど、子育ての可能性も共有できる女性と再婚したいと思っています。年下がいいなんて思いません。同世代の女性、大歓迎です。ただし、食器洗いと掃除と洗濯はすべて僕に任せてくれることが結婚の条件です(笑)」

独身生活に落ち着きたくない、という理由で現在の梶谷さんには「自宅」がありません。仕事部屋と友人の別宅、実家の3カ所を使い分けながら生活をしています。

「仕事部屋には洗濯機や電子レンジなどの生活家電、布団やベッドは置いていません。床に寝袋やクッションを並べて、タオルケットをかぶって寝ています。一番快適なのは、友だちの別宅です(笑)。都心に用事があるときなどに使わせてもらっていて、掃除や片付けは基本的に僕がやっています

梶谷さんはいま、楽しみながら婚活をしています。東京圏で子育てをしながら生活をするには、共働きができる女性が自分に適していると気がついているようです。

ちょっと几帳面すぎるし話も長いけれど、知的で心優しい梶谷さん。交友関係は広くてまめだけれど浮気はしません。仕事が大好きで趣味は料理、だけど片付けは苦手だというアラフォー独身女性とぴったりですよね。半年も経たないうちに梶谷さんから嬉しい報告を聞ける予感がします。

あとがき(婚活女子・編集担当)

同棲生活や結婚生活について、かなりリアリティ溢れる話をしてくれた梶谷さん。これまで未婚者への取材が多かったので新鮮だったとともに、梶谷さんのエピソードは、離別の原因でよく聞かれる「性格の不一致」の具体例だと思います。結婚は生活。性格は一長一短。だから「譲り合い」と「相性」が大切なんですね。

今回は過去の反省が中心に語られていました。取材でこんな風に自分をさらけ出してくれる梶谷さんは、少しさびしがり屋で、率直で、飾らない人柄なのだと思います。もし彼にアドバイスするのなら。恋のはじまりにはミステリアスな部分が必要ですので、ちょっとずつ自分を出していった方がうまくいきますよ!

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大宮 冬洋(おおみや とうよう)フリーライター

1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
「お見合いおじさん」としての悪戦苦闘の日々は、ヤフーニュース個人の連載「中年の星屑たち」で公開中。
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