辛酸なめ子の恋の金言教室

vol.05 石川啄木

今週の金言

結婚について神の定められた法律はただ一か条ある。曰く、愛

金言の主石川啄木

生涯を貧困に苦しんだことで有名な明治時代の天才歌人。19歳にして年来の恋人と結婚したが、自身の結婚式を欠席するなど、その無頼漢ぶりも半端ではなかった。

厳かなる神様パワーの御前にて

先日、高校時代から交流のある仲の良い友だちの結婚式がありました。会場となったのは、1300年もの歴史がある神社、神田明神。神社での神前結婚式に参列するのは初めてです。花嫁&花婿に続いて社殿に入り、友人席に着席。前には祭壇があっていて荘厳な空気が漂っていますが、時折背後でお賽銭を投げ込む音が響いて静寂が破られます。古式ゆかしい角隠しの花嫁と袴姿の新郎が前に座り、神主さんのお祓いを受け、祝詞が奏上され、神様に結婚のご報告と、プログラムは淡々と進んでいきます。


巫女さんの舞があったり、指輪が置かれている台が三宝(お雛様の三人官女が持っている木の台)だったり、雅な演出で和文化に浸れます。ふと気付いたのは、神前結婚式の間は、聖域の結界にガードされて邪念が浮かばない、ということです。レストランウェデングだと、つい(新郎の会社の人、茶髪率が高くてチャラいけど大丈夫)とか(新婦の妹がやさぐれてて結婚を祝ってなさそう)とか、雑念がわいてきてしまうのですが、神様の前では不思議とネガティブな思いは浮かびませんでした。


心の中は賛美と祝福のみです。偉大なる神様パワーを実感しました。ここのご祭神は畏れ多い平将門公であることを思うと、誓いの言葉を破ってもし浮気でもしたら天罰が下りそうです。首塚での祟りの数々を考えると、悪いことはできません。お互い貞操を守るために神前結婚は有効です。

辛酸 なめ子
辛酸 なめ子
漫画家、コラムニスト。慇懃(いんぎん)でおっとりとした文体とは裏腹に、独特な画風と皮肉の効いたコラムで人気を博し、現在さまざまなメディアで活躍中。主な著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女修行』(インフォバーン)、『女子の国はいつも内戦(14歳の世渡り術)』(河出書房新社)、『アイドル食虫花』(コアマガジン)など多数。