辛酸なめ子の恋の金言教室

vol.03 ロミュビルュス

今週の金言

男と女とが結婚したときには、彼らの小説は終わりを告げ、彼らの歴史が始まる。

金言の主ロミュビルュス

フランスの彫刻家。

スライドショーでは不遇な生い立ちを披露しましょう

先日、久しぶりに友人の結婚披露パーティに参列する機会がありました。パーティの中盤に、お決まりの思い出アルバムが流れたのですが、友人の奥様がかなりお嬢様で、弦楽器を習い、お嬢様学校に入って修学旅行はカナダ、卒業後も海外留学し、今は法律の仕事をしているという、アッパークラス感が写真からビンビン出ていました。新郎の上司が少女時代の写真を見て「おひなさまの段が七段くらいあるからお嬢様だ。奥さんの家の財力があるからいつクビにしても大丈夫だな」と、冗談にしても不穏な発言を......。


それを見て思ったのは、あまりにも恵まれた少女時代をアピールすると、ただでさえ結婚して幸せなのに、妬まれる要素を増やしてしまいそうなので、むしろスライド上映では不遇な生い立ちにスポットを当てるのが良い気がします。


例えば私の場合、出すとしたら、子どもの時おかずがなくてごはんに塩をかけて食べていたとか、公立小学校でいじめられたとか、中学でおこづかいが少なくて同級生とカフェに行っても何も頼めず水だけ飲んでいたとか......そんなエピソードを流せば、みんな目頭を熱くして「結婚できて良かったね」「おめでとう」と心から祝福してくれることでしょう。

辛酸 なめ子
辛酸 なめ子
漫画家、コラムニスト。慇懃(いんぎん)でおっとりとした文体とは裏腹に、独特な画風と皮肉の効いたコラムで人気を博し、現在さまざまなメディアで活躍中。主な著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女修行』(インフォバーン)、『女子の国はいつも内戦(14歳の世渡り術)』(河出書房新社)、『アイドル食虫花』(コアマガジン)など多数。