辛酸なめ子の恋の金言教室

vol.02 ボーヴォワール

今週の金言

年頃の娘たちは結婚のために結婚する。結婚によって自由になれるから。

金言の主ボーヴォワール

フランスの作家・思想家。1908年パリ生まれ。女性の解放運動家として活躍する一方、哲学者のサルトルの伴侶として生涯を共にした。

殻が破れる瞬間が楽しみです

結婚式のハードルが高すぎて、なかなか結婚する勇気が出ません。ひとりだけ目立つ白いドレスを着て数時間注目を浴び続けたり、真顔で「誓います」とか言ったり、いい年なのにバージンロードを歩いたり、友人たちに親を、親に友人たちを観察されるなんて、想像しただけでも緊張して倒れそうです。


でも、この結婚の儀式を乗り越えられたら、自分の殻みたいなものが破れて、人間としてひと回り大きくなれると思います。ノーメイクや無防備な寝顔を夫に見せるとか、タメ口で近所の人と会話するとか、今まで恥ずかしくてできなかったことができるようになりそうです。


知り合いの夫婦の話を聞いたら、夫が「ただいま~」と帰宅すると、妻が玄関先で創作ダンスを踊って出迎えてくれるとか。奥様は、結婚式で理性のタガが外れて、自由に自分を表現できるようになったのでしょう。夫は若干、困惑気味でしたが、愛があれば大丈夫です。自分も結婚したら、表現の幅が広がるかもしれないと思うと、少しやる気が出てきました。結局、結婚も仕事のためかと言われそうですが......。

辛酸 なめ子
辛酸 なめ子
漫画家、コラムニスト。慇懃(いんぎん)でおっとりとした文体とは裏腹に、独特な画風と皮肉の効いたコラムで人気を博し、現在さまざまなメディアで活躍中。主な著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女修行』(インフォバーン)、『女子の国はいつも内戦(14歳の世渡り術)』(河出書房新社)、『アイドル食虫花』(コアマガジン)など多数。